「編集委員に聞く|Nanomaterials 誌」川﨑英也先生|関西大学

MDPI日本支社では、弊社ジャーナルの編集委員の先生方にインタビューを行っております。論文の査読や採択に携わっている先生方の生の声をお届けすることで、研究者の皆様にとって何らかのヒントになることを願っております。

第6回目は、Nanomaterials誌のSynthesis, Interfaces and Nanostructuresセクションの編集委員(Editorial Board Member/Section Board Member)、川﨑英也先生(関西大学)にお話を伺いしました。

川﨑 英也 (かわさき ひでや)先生 | 関西大学

九州大学大学院理学研究科化学専攻の前田悠 研究室(高分子電解質・コロイド)の出身です。1998年に九州大学で博士(理学)を取得しました。2013年から現職の関西大学化学生命工学部の教授です。

先生のご専門分野を教えてください。

私の専門分野は、コロイド・界面化学です。コロイド・界面化学は、主に表面・界面、及びコロイド次元(10-9~10-6m)の大きさをもつ粒子や分子集合体の物性・機能の研究を対象としており、数学、物理、化学、生物、薬学などに関連する学際的な学問領域です。

先生がその分野に進むに至った理由や背景を教えてください。

ナノテクノロジーは、コロイド次元の大きさを対象とする研究分野であり、その中でも「ナノ材料・ナノ粒子」が、光学的特性・電気的特性・磁気的特性・触媒特性など、多種多様な性質・機能をもつことを多くの先生方との出会いや論文などで知り、その可能性に魅力を感じて、ナノ材料・ナノ粒子の研究に取り組むようになりました。

現在取り組んでいる課題や、これから取り組みたい課題について教えてください。

粒子サイズ・粒子表面が制御されたナノクラスター・ナノ粒子を合成し、その新たな物性・機能(光機能、触媒、電気伝導特性)を創出する研究を行っています。研究を進めている応用分野は、「エレクトロニクス(電子部品部材)」、「ヘルスケア(抗菌・癌治療/感染症の光治療)」、「環境・エネルギー(水環境浄化・水素製造)」の3つの重点領域であり、その対象素材は金属、酸化物、炭素、およびこれらの複合材料と多岐にわたります。

先生のご研究人生の中で、一番の思い出を教えてください。

初めての学会発表(修士の時)、第一著者論文が初めて受理された時(投稿から受理まで一年以上かかり苦労した経験)、研究代表者として初めて外部助成金に採択された時、海外での研究生活、学会から若手奨励賞を授与していただいた時など、研究者としてのステップアップのためのそれぞれの機会が、思い出となっています。今振り返るとこれらの機会は全て、キーとなる人との出会いやサポートがあり、たくさんの方々に助けられ支えられてきました。お世話になった先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。

先生のご専門分野で、注目されている研究者がいらっしゃいましたら、その方の研究内容などを含めて教えてください。

東京理科大学応用化学科の根岸雄一先生は、金属ナノクラスターの精密合成や物性、それを化学/光触媒や太陽電池などに機能応用する研究をされており、本分野で世界を先導する多くの質の高い研究成果を発表されている注目の研究者です。

先生のご専門分野の若手研究者の方々に向けて、伝えたいメッセージがございましたらお聞かせください。

自分の研究を位置づける地道な研究に加えて、同時に新しい芽を生み出す挑戦的な研究を進めることが大事だと思います。賛同する人が少ない研究でも、どうしても進めるべきと自分で判断できれば、自分を信じてその研究テーマを進めていただきたいと思います。ただし、時折、独りよがりの研究になってはいないか客観的に研究テーマを見直すことも大事だと思います。良い研究テーマと出会うため、常にアンテナを張って、忙しい中でも学会に参加して多くの人との出会いを大切にし、論文を継続的に読むことの努力を惜しまないようにしてください。

最後にオープンアクセス出版についての印象をお聞かせください。

近年、電子ジャーナルの購読料が高騰し、大学の図書館が高価な電子ジャーナルを揃えることが難しくなってきている状況です。このような状況下で、すべての人に無料で公開し、その論文を閲覧しやすい環境作りに努力を続けているオープンアクセス(OA)出版は、科学・技術の発展に大きく貢献すると期待しています。 OAジャーナルは、以前は、インパクトファクターが低いイメージがありました。最近の多くのOAジャーナルが出版する論文は多く引用されており、その幾つかは高いインパクトファクターを獲得しています(インパクトファクターがジャーナルの質を表す最良の指標ではありませんが)。MDPIジャーナルの「Article Access Statistics」は、リアルタイムで論文の注目度がわかる良いシステムだと思います。

川﨑先生から読者へのコメント

現在、MDPIのNanomaterials誌で「Cutting‐Edge Nanomaterials for Electronics in Asia: Synthesis, Properties, and Applications」という特集号で論文を募集しています。この特集号では幅広いエレクトロニクス材料に関連した論文を募集しています。 また、日本化学会の新領域研究グループ「分散凝集の学理構築への科学と技術戦略」の代表を務めており、分散凝集の制御・評価に関する知見を広く産学官に普及する活動を行っています。


ジャーナルのご紹介

Nanomaterials (ISSN 2079-4991)

創刊年:2010年

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