By Meritxell|February 14, 2022

「編集委員に聞く|IJMS 誌」佐藤毅先生|埼玉医科大学

MDPI日本支社では、弊社ジャーナルの編集委員の先生方にインタビューを行っております。論文の査読や採択に携わっている先生方の生の声をお届けすることで、研究者の皆様にとって何らかのヒントになることを願っております。

第7回目は、International Journal of Molecular Sciences (IJMS) 誌のセクションの編集委員(Editorial Board Member/Section Board Member)、 佐藤 毅 先生(埼玉医科大学)にお話をお伺いしました。

佐藤 毅(さとう つよし)先生 |
埼玉医科大学

1998年に東北大学 歯学部を卒業後、東京医科歯科大学 歯周病学分野大学院を修了、東京大学医学部附属病院 顎口腔外科を経て、2004年より埼玉医科大学病院 歯科口腔外科に所属しております。

先生のご専門分野を教えてください。

臨床系では口腔外科学、歯周病学に関する研究に従事しています。基礎系では骨代謝、神経系の研究に従事しています。

先生がその分野に進むに至った理由や背景を教えてください。

埼玉医科大学 歯科口腔外科では咀嚼筋腱・腱膜過形成症という疾患の病態解明に取り組んでおります。幼少期から両側の咀嚼筋腱の過形成が起こり、徐々に開口障害(口が開きにくくなる)がすすむ病気です。この疾患は2008年に疾患として学会で承認されました。当教室が2009年に世界で初めて、疾患の治療法の有効性を示す論文を英文誌に発表しました。また、病態解明の研究として、これまでに英語論文を5本発表してきました。この疾患の基礎的研究に関して、1つの教室から出している論文数としては世界で最も多い数です。一方、骨代謝研究も行っています。アルツハイマー病に有効な既存の薬剤が骨吸収阻害作用を有することを示しました。また、神経突起を制御するサイトカインが骨細胞の細胞突起を制御する可能性も見出しています。

現在取り組んでいる課題や、これから取り組みたい課題について教えてください。

咀嚼筋腱・腱膜過形成症の病態解明を引き続き行っていきます。抗菌薬ではなく歯周病の炎症を抑制する薬剤の開発にも着手しています。骨代謝研究では、自閉症遺伝子の骨代謝との関わりを解明するプロジェクトもすすめています。

先生のご研究人生の中で、一番の思い出を教えてください。

最初に全て自分で執筆した英語論文が受理された時は、大変うれしかったです。いまでもそのメールをPDF化して保存しています(笑)。

先生のご専門分野で、注目されている研究者がいらっしゃいましたら、その方の研究内容などを含めて教えてください。

新進気鋭の歯学系研究者である塚崎雅之先生を紹介します。詳しくはこちらのサイトをご覧ください。

先生のご専門分野の若手研究者の方々に向けて、伝えたいメッセージがございましたらお聞かせください。

歯学系研究者は他の分野と比較して少ないですが、臨床応用や病態解明に結び付く研究を目指していただきたいと思います。

最後にオープンアクセス出版についての印象をお聞かせください。

オープンアクセスの利点は誰でもすぐに情報が得られることで、科学の発展に重要な役割を果たしていると思います。