オンラインセミナー「大気汚染と健康に関する最近の研究の進展」

日本支社では、MDPI Applied Sciences誌・金沢大学環日本海域環境研究センター様共催オンラインセミナー「大気汚染と健康に関する最近の研究の進展」を、2022年1月28日に開催しました。

このセミナーでは、議長に金沢大学環日本海域環境研究センター 早川和⼀名誉教授、演者に国立環境研究所・地域環境保全領域 高見昭憲領域長、金沢大学医薬保健研究域医学系 中村裕之教授をお招きし、「大気汚染とヒトの健康」をテーマに、大気中の黄砂やPM2.5、有害化学物質、および慢性咳嗽について、精力的に研究を進めておられる先生方に、最近の研究の進展をご紹介いただきました。また、質疑応答のセッションと総合討論のセッションを設け、聴講者の皆様からのご質問やご意見を受け付けました。

金沢大学環日本海域環境研究センター 早川和一名誉教授による開会のご挨拶から本セミナーが始まり、続いて早川先生に「燃焼で発生する大気中の有機汚染物質」というテーマでご講演いただきました。大気中の有機汚染物質に関する基礎知識から、近年研究が盛んに行われている多環芳香族炭化水素(PAH)類代謝体の内分泌かく乱作用や活性酸素種産性作用などの新たな毒性に関するトピック、また燃焼由来大気粉塵およびPAHの新しい発生源解析法やその解析方法を用いた実例をご発表いただきました。

続いて、国立環境研究所・地域環境保全領域の高見昭憲領域長より、「西日本における越境大気汚染の変動について」というテーマでご講演いただきました。黄砂や越境大気汚染物質の経年変動・季節変動に関するデータや、越境大気汚染が都市スケールに及ぼす影響、PM2.5や黄砂が人体に及ぼす影響について、福江島大気観測施設における大気汚染物質の観測結果やシミュレーション結果をもとにご発表いただきました。

最後に、金沢大学医薬保健研究域医学系の中村裕之教授より、「大気中化学物質の慢性咳嗽への影響」というテーマでご講演いただきました。大気中化学物質が原因と考えられている新しい慢性咳嗽疾患に関する環境疫学的研究の結果をもとに、越境汚染物質の慢性咳嗽に対する影響や、慢性咳嗽と喘息性咳嗽との違い、福岡と金沢の2拠点における咳の発症の原因となる化学物質の発生源の違いについてご発表いただきました。

質疑応答および統合総論のセッションでは、聴講者の方から積極的にご質問やご意見をいただき、活発な議論が交わされました。

議長の早川先生、演者の高見先生、中村先生におかれましては、本ウェビナーの開催にあたりまして貴重なお時間をいただきましたことを心より御礼申し上げます。また、ご参加いただきました皆様にも感謝申し上げます。

早川先生、中村先生は現在Applied Science誌にて、特集号をご企画いただいております。大気汚染やその有害物質に関する研究や、大気汚染による人体への影響に関する研究に関してご関心のある方は、下記リンクをご覧ください。

PM2.5 and PM10: Atmospheric Behaviors and Correlation with Health Effects(投稿締め切り:2022年8月31日)

日本支社では今後も研究セミナーの開催を通じて、日本の研究者の方の最新の研究成果を多くの方へいち早くお届けし議論の場をご提供することで、日本の学術コミュニティーの発展に貢献できればと願っております。最新の研究や特集号をご紹介いただくためのウェビナー開催にご興味のある方はお気軽に info-tokyo@mdpi.com までご連絡ください。

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