By Kurihara|April 18, 2023
トピックス_世界宇宙旅行の日

世界宇宙旅行の日

4月12日は世界宇宙旅行の日で、1961年4月12日世界初の人を乗せた人工衛星ヴォストーク1号がソビエト連邦によって打ち上げられたことを記念する日です。このとき、人類で初めて宇宙に行ったユーリ・ガガーリンの有名な「地球は青かった」から60年あまりが経った今、人類の宇宙に関する知識は格段に深まりました。The Event Horizon Telescope (EHT)という、人間の視力の300万倍の解像度をもつ電波望遠鏡が開発されたことにより、2019年と2022年に人類は二つのブラックホールの直接撮影に成功しました。一つ目は、地球から5500万光年離れた銀河M87にあるブラックホールで、太陽の65億倍もの質量をもちます。二つ目は、私たち地球がある太陽系が属する天の川銀河のいて座Aで、地球から2万7000光年の距離に位置しており、その質量はなんと太陽の約400万倍だそうです。

ブラックホールの直接撮影が可能になった今も、ブラックホールは未だ謎だらけです。例えば、ブラックホールは強力な重力でガスや塵・星を吸い込み、光でさえもブラックホールからは逃れられないと言われています。しかし、その中でもM87のような活動性の高いものからは、ジェットと呼ばれる極めて速い速度のプラズマ粒子が噴出しているというのです。これらがブラックホールのどこから放出されて、どのようにしてブラックホールから逃れられるほどに加速されるのかなどはまだ詳しく解明されていないようです。

MDPIが出版するGalaxies誌では、日本人の先生がGuest Editorを務める、「ブラックホールとジェットについて」の特集号が発刊されています。ご興味のあるかたはぜひこちらからご覧ください。

天の川銀河中心のブラックホールいて座A*の紹介(クレジット: NSF/MIT Haystack Observatory)

余談ですが、あのウルトラマンの故郷は、草案の段階ではM87星雲という設定だったそうです。しかし、当初の脚本でM78と誤植されてしまい、M78のまま放映されて定着してしまったようです。ジェットを持つM87星雲が故郷であれば、ウルトラマンが「光の使者」と命名されていることにも合点がいきますね。

【参考文献】

EHT-Japan. “天の川銀河中心のブラックホールの撮影に初めて成功”. EHT Japan プレスリリース. 2022-5-12. https://www.miz.nao.ac.jp/eht-j/c/pr/pr20220512, (2023-02-02)

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