MDPI ジャーナル掲載論文の著作権とクリエイティブ・コモンズ
今回はMDPI Japanへのお問い合わせの中でも頻度の高い、MDPIジャーナルに掲載されている論文の著作権とクリエイティブ・コモンズについてお伝えします。
MDPIに投稿されているすべての論文の著作権は、クリエイティブ・コモンズCC BY 4.0(表示)のもと、著作者に帰属します。そのため誰でも自由にダウンロードして閲覧できますし、論文が特定できる情報(著者名, タイトル, ジャーナル名, 発行年, 号数, ページ数, DOIなど)を表示すれば、営利目的であっても翻訳や改変などの二次利用が可能です。その際MDPIへの事前許諾や料金なども必要ありません。
クリエイティブ・コモンズライセンス(CCライセンス)とは、著作権による完全な権利保護(All Right Reserved)と著作権の破棄(No Right)の中間に位置する考え方を持っています。著作者が著作権を保持しながら、著作物をどのように利用してよいかをマークとともに示すことで、利用する側がどのような二次利用が可能か判断しやすくしています。
オープンアクセスアクセスジャーナル(世界中どこでも、誰でも、研究成果にアクセスできるようにインターネット上に無料公開される論文を出版するジャーナル)の多くがクリエイティブ・コモンズに準拠していますが、全てがCC BY 4.0(表示)というわけではなく、下記の表ように “BY(表示: 作品のクレジットを表示すること)”, “SA(継承: 元の作品と同じ組み合わせのCCライセンスで公開すること)”, “NC: 営利目的での利用をしないこと”, “ND: 元の作品を改変しないこと”の4種類の要素を組み合わせて6種類の利用条件のライセンスがありますので、利用の際はご注意ください。
図に示されるように、MDPIに掲載されているすべての論文はクリエイティブ・コモンズCC BY 4.0(表示)に準拠しているので、原著論文を特定できる情報を記載すれば営利目的でも二次利用(改変)が可能ですし、レポジトリへの登録も問題ありません。
しかし、他出版社や学会誌の論文をご自身の論文に利用されてMDPIへご投稿される際には、もちろんその論文の著作権を確認して、必要であれば必ず許諾をお取りください。
【参考文献】
- 水野祐. “オープンアクセス(OA)とクリエイティブ・コモンズ(CC)ライセンス”. https://www.slideshare.net/TasukuMizuno/oa-mizuno031116-59514669 (2016年3月14日 J-STAGEセミナー資料)
- 水野祐. オープンアクセスとクリエイティブ・コモンズ採用における注意点: 開かれた研究成果の利活用のために. 情報管理. 2016, vol. 59, no. 7, p. 433- 440. https://doi.org/10.1241/johokanri.59.433.
- 小林心. ”オープンアクセスへのクリエイティブ・コモンズライセンス適用の意義と留意点”. https://www.jstage.jst.go.jp/static/files/ja/pub_20181031Seminar02.pdf (2018年10月31日 J-STAGEセミナー資料)
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