“—“はハイフン?マイナス?enダッシュ?それともemダッシュ?

正解は「emダッシュ」です。全部ただの横棒じゃないのと思われるかもしれませんが、下記のように微妙に長さが違いますし、使い方も異なります。

ハイフン

マイナス

- en ダッシュ

 em ダッシュ

今回はこれらの使い方と、Wordでの入力方法をお伝えします。

ハイフン “-”の使い方

ハイフンは、接続された単語をお互いに結びつける時に使用され、ハイフンがないと意味が変わってしまうような時に重宝します。下記で使い方をもう少し詳しく説明します。

1. 複合修飾語

2つ以上の単語をつなげて「複合語」を形成する際に使います。

例えば、“American football player”は「アメリカ人のサッカー選手」なのか「アメリカンフットボールの選手」なのかわかりません。そのため、“American football-player”として「アメリカ人のサッカー選手」を、“American-football player”として「アメリカンフットボールの選手」を表現するときなどにハイフンを使います。

また、ハイフンは下記のように修飾語を繰り返し使用する際にも使用することもできます。

“A family-owned and -operated business” 「家族経営で運営されている企業」

“Three- to four-year-old car” 「3~4年の中古車」

2. 接頭/接尾辞

“self-reliance” と “president-elect” のように、接頭辞や接尾辞を付加する時にも使用されますが、 “antioxidant”「抗酸化物質」や“clockwise”「時計回り」のように、よく使われる単語では省略されることがあります。

3. 複合名詞

“mother-in-law”や“passer-by”のようにハイフンで連結して1つの名詞(複合名詞)であることを示すために使用します。上記の例などは慣習的にハイフンを使用しますが、“orang-utan”、“orangutan”、“orang utan”などは好みによるところがあります。しかし、ハイフンの有無は論文全体で統一することが重要です。

4. 副詞の後にはハイフンを使用しない

副詞(一般的に-lyで終わる)の後にハイフンを付けるのは誤りです。副詞の役割は動詞の修飾なので、単語が明らかにつながっていれば、ハイフンは不要です。例えば、“closely-related”は、“closely related”とすべきでしょう。

enダッシュ “-”の使い方

enダッシュは、相互作用や相互関係、範囲を示すために使用します。ハイフンより長く、“n”の文字幅と大体同じ長さです。emダッシュは“m”の文字幅と大体同じなので、enダッシュはemダッシュより短いということになります。

一般的には、「and」「to」「versus」などの前置詞や接続詞の代用として使われます。例えば

“north–south direction” 「南北方向」

“July–September” 「7月から9月」

“England–France” 「イギリス対フランス」

のように使用します。

enダッシュはハイフンよりも相互の関係を強く示し、それぞれの価値が同じであることが強調されます。“Mann–Whitney U test”「マン・ホイットニーのU検定(統計学の検定方法の一つ)」や“Cambodia–Vietnam relations”「カンボジアとベトナムの関係」のように、地名や人名でもよく使用されます。

注意しなければならないのは、enダッシュの前に“from”や“between”をつけてはいけないということです。これらを使用するのであれば、下記のように、“to”と“and”を用いて表記する必要があります。

正: “1980–1990”

正: “from 1980 to 1990”

誤: “from 1980–1990”

 

emダッシュ “—”の使い方

emダッシュはコンマとほぼ同様に使用できますが、文の区切りをより強く示します。一般的には重要な情報を強調したり、長くて複雑な文章を明確にするために使用します。

“Thirty people—including several newcomers—attended the seminar last week” 「先週のセミナーには、30人(新人数名を含む)が参加した」

のように、主節に追加情報を加えたい時はemダッシュを使用したほうがいいでしょう。注意していただきたいのは、emダッシュの両側にはスペースは不要で、追加情報を閉じるには括弧を閉じるのと同じように、2つ目のemダッシュが必要であることです。

emダッシュを使用しなくても下記のようにコンマや括弧で表現することも可能です。

正: “Thirty people, including several newcomers, attended the seminar last week”

正: “Thirty people (including several newcomers) attended the seminar last week”

また、下記のようにコロンの代用として、「イコール」の意味で情報を提示するために使用することもできます。

“ctrl—control” 「ctrlはcontrolを示す」

“Standard deviation—15%” 「標準偏差は15%」

出版社によっては上記のような場合にもハイフンを使ったり、enダッシュやemダッシュの両側にスペースを入れたり、時にはemダッシュの代わりにenダッシュを使用したりと、厳密に区別されないこともありますので、ご投稿のジャーナルのスタイルガイドをご参照ください。MDPIのスタイルガイドはこちらからご覧いただけます。

Wordでの入力方法

【Windows】

enダッシュ:  2013と入力した後にAlt +[x] 

emダッシュ: 2014と入力した後に後にAlt +[x]

マイナス 2212と入力した後に後にAlt +[x]

【Mac】

enダッシュ:  [Option]+[-] 

emダッシュ:  Shift キーと Option キーを同時に押しながらハイフンを入力

マイナス:  直接打つことはできません「挿入」から→「記号と特殊文字」でUnicode 2212

※ハイフンはMac、Windowsともに「0」の隣の「-/=/ほ」のカーソルから入力できます

本記事はMDPIの英語ブログ『How To Use Dashes and Hyphens』を元に作成したものです。元記事はこちら



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